前回は「還暦」にフォーカスを当てましたが、決して年齢を理由に諦めてほしいという考えではありません。今の年齢の私が10代〜20代前半くらいまで出来ていた体力を目一杯使っての演奏をしようとしても難しいけれど、逆にそれくらいの年齢の頃は「音も表現もまだまだ若すぎる」と言われ、40代前後の熟した演奏家の皆々さまのシューマンやバッハに憧れていました。若ければベテランがうらやましいし、大人になると若さがうらやましい。そういうものなのだと思います。
体力で考えると、人間である以上30代に入った頃から一生を終えるまで、長い長いディミヌエンドです。私自身は30代半ばに入る頃に明らかに数年前と違うと感じるようになりました。ここから40歳過ぎ・50歳頃の更年期・還暦頃に比較的subito(ただちに)pする瞬間があるのだと思います。とくに女性は閉経などを機に骨密度が減少していくことも、演奏に影響するように感じます。
人生の半分以上あるこの長い長い下り坂を(そんな懐メロありますね)どう楽しんでいくか。白髪やシミしわが増えて「悲しい」ではなく、歳を重ねた自分を愛しながら時の経過を喜ぶように、変化ある演奏を受け入れ活かしていけたらと思っています。それには、やってくるsubito p を知ることから!前置きが長くなりましたが、今日はそんなお話を書いていきたいと思います。
最初のsubito p 〜出産後〜
女性は男性よりも元々持っている筋肉量も少ないし、ホルモンの影響を多く受けるので、急激な変化が起こりやすいと感じます。その第一回目のきっかけが出産。栄養を赤ちゃんに届けた負荷によって、産後は急激なエイジングを感じます(笑)演奏に必要な腹筋もほぼないくらいに弱まってしまい、リカバリーにはかなりの時間がかかります。その上その後もエイジングは続くので、今になってみると完全に元どおりには戻ってはいないような気さえします(涙)また、出産を機に体質が変わったりもするので、演奏スタイルや練習方法を見直す大きなタイミングです。
2回目のsubito p 〜40代前半頃〜
次は、いわゆる「プレ更年期」といわれる年代にあります。今まで健康で病気をしたことのなかった方が、風邪をひきやすくなったり休日に動けないほど疲れてしまったり、ガクッと落ちたような感覚があるようです。ここで生活習慣を見直しておくと先々元気で過ごせるので、良いきっかけになります。サプリメント等で内面のケアをすること、なにより大事なのはこのあたりで日常的な運動習慣を持っておくことが大きな分かれ目です。50代以降に五十肩などされる方の多くは運動習慣が少ないので、40代からは筋肉量と血流を意識した活動をしていくと良いと思います。
生活を健康的に過ごせさえすれば、オーボエの演奏においては、まだこの段階までは特別な練習は行う必要がないと思います。
3回目のsubito p 〜50代の更年期〜
ここは還暦の次に大きな契機になります。先ほどの項目でも触れましたが、五十肩のほかに腱鞘炎、腰痛といった筋肉や関節の問題が出てくる方が一気に増えていきます。一度痛めてしまうとスッパリ治ることはあまりなく、今度は別のところが痛み出したりすることが多いです。一生懸命練習すると手首などが痛くなってしまうという方も増えます。いざそうなってしまったら、整体やストレッチに通うことを日常に取り入れる必要があると思います。治ったら行かなくなってしまう方も多いのですが、そうすると再発したり別の場所に問題が起こるので、オーボエを長く楽しみたい場合には定期的に続けた方が良いと思います。それと、体を労わりながら運動する習慣をここから強く意識していく必要があります。おそらく40代くらいのうちからできていればそこまで体に大きなガタがくることはない印象ですが、ここまで全く運動習慣がない場合には無理せず少しずつから、日常に運動を取り入れてみることを推奨します。
また、ここでオーボエの演奏が辛いとなったら、軽量な楽器に買い替えたり、リードを薄くしたりして、体の負担を軽減しておくことも大切です。無理をすると体を壊し、長く楽しめなくなってしまいます。
このように、還暦という大きな節目までの間にもおよそ3回ぐらい大きな節目があるので、その時々で不調があれば生活習慣を見直すことが、先々の体のために良いことだと思います。いま不調がなくても今から還暦以降を楽しめるように健康に過ごしていきたいですね。

