当教室には、音楽大学・音楽高校受験のためのコースがあり、受験生のレッスンもさせて頂くことがあります。そこでものすごく良く言われるこの話題。
子どもがプロのオーボエ奏者になりたいと言うので、なるべく早く専門教育を受けた方が道は近いと思い、高校から音楽科に進みたいと話しています。
まず、演奏家になるための近道=音楽高校ではありません。そして、オーボエだけでなく演奏家として活躍している人の多くは普通科高校ですので、高校から音楽科に進むことは必須ではないと思います。音大に進むとある程度閉鎖された環境になってしまうので、せめて高校まではいろいろな種類の人が集う環境で多種多様な経験を重ねることが最終的に音楽家として社会に出るためにはより大事ではないか、というのが私の考えです。それと、中学生のときに演奏家になりたいと思っていても、いざ高校生になってみたらまた新たな経験をして別の夢ができるケースも多く見てきました。そういったことから、音楽高校への進学を考えている学生さんには、まず最初は普通科を勧めています。
でも、高校で興味のない授業を受けるよりも音楽の勉強がしたい!!
と、私が普通科を勧めた後も変わらず熱望する子の場合は、保護者の方ともじっくり相談をして、ご家族皆さまがご納得になったらその上で、音楽科への進学にむけた準備をスタートしていきます。
音楽高校に進学したほうが良いケース
音楽高校に進む方が良いパターンに当てはまるのは、どういったタイプの学生さんなのでしょうか。
- 主専攻以外(ソルフェージュ・ピアノなど)の音楽全体の基礎が0に近い
- 極度のあがり症
- 主専攻の演奏技能が、同世代比較で低めに位置する
- 絶対に進みたい音大が決まっている
幼少期にピアノを習ったことがない男子は、大学受験の対策に苦労することがあります。音楽高校に進学して授業として日常で見て頂けることはアドバンテージになると思います。
極度のあがり症で大学受験に臨む自信が持てない子や、演奏技能が同じ中学生と比較して途上である子にとっては、高校からマイペースに経験を積めて、より少ない努力で練習環境が整うのは良ことです。
絶対に進学したい音大が決まっている場合、その附属高校へ(東京音大・国立音大・桐朋学園大・武蔵野音大・東邦音大であれば)進学するのもひとつの手段です。ただ、習いたい先生がいるという理由の場合、「講師」だと途中でお辞めになってしまうことも比較的頻繁ですので、その場合の想定も必要だと思います。
やりたいことをなるべく早く叶えるのか、大人になって目標を達成するために長期スパンで考えるのか
せっかく中学生でやりたいことが決まっているのだから、やらせてあげたいです!
というお声も、よく耳にします。私も、やりたいことがあるって、素晴らしいことだと思います。叶えようとしてくださる保護者の方も素晴らしいです。ただ・・・そこで見極めたいことは、今やりたいことを叶えるのを優先するのか、将来なりたいものになるために長期スパンで将来を考えるのか、です。
ただ「高校でオーボエを極めたい」のなら、放課後に自分で練習したり、演奏団体に所属したり、吹奏楽の強豪校に入ったりと、方法は音楽科に進学することだけではありません。音楽学校は大学・大学院がメインなので、高校にこだわらなくても基本的に全く問題ないと思います。むしろ日本の大学から海外の大学(もしくは大学院、音楽院)に渡って20代後半くらいまで学生として学び続ける方が多いので、そうなる前提で高校は日本的な一般教育をしっかり受けておく方が、のちのちの社会スキルのためにも良いかなと、私がもし仮に自分の子が音楽家を目指すと言ってきたら親としてアドバイスすると思います。
とあるタレントさんがお子さんの将来設計のために、その道の成功者にたくさん会わせたというお話を聞いたことがあります。音楽家になりたいと考えるお子さまには、その道をゆくオーボエ奏者たちのお話を聞いてもらって、どうするか考えてもらうのも良いことですね。当教室には音大出たての新進気鋭の若手、コンクール覇者、現役オケマンまで在籍しておりますので、ものすごく有益な情報を得られるはずです。進路に迷う方、ぜひお問い合わせくださいね♪