良い楽器・長く使える楽器について、あと選定についてなど、楽器に関するお話が多かったここ最近ですが、演奏の際にとても大切な感覚があったことを思い出しました。自分の思った表現が叶うことを基準に演奏をしてしまうのですが、逆に楽器に教えてもらうこともとても多く、その経験が本当に大事なことだったりするのです。
オーボエと吹き手、同じ方向を向いている?
自信をもってYes!と言えない自分もいますが(笑)自分がどう在りたいかばかりを優先していると、本来自分の楽器が持っている方向性を見失ってしまうことがあります。オーボエは多種多様な国・メーカーが発売していて選択肢が多いですが、メーカー・機種ごとにコンセプトがあります。ガツンとたっぷり息を入れて鳴らす楽器、ふんわりとした吹奏感で柔らかな響を目指す楽器、素直にまっすぐ息を通す楽器・・・それぞれに望ましい演奏法があります。その望ましい演奏法に吹き手が歩み寄っていかなければ、吹き手も楽器も辛い結果が待っています。そういう意味でも、「自分に合う楽器」の見極めが大事なのですが、洋服がサイズアウトするように、いつの間にか自分に合っていると思っていたものが合わなくなることもありますし、そもそも合っていなかったというケースもあります。年を重ねて変わりゆくものでもあるので、実は私自身、演奏法についてどうありたいか・どうあるべきかをはっきり言えないところがあります。
方向性をオーボエに教えてもらう
はっきり分からないのにも理由があります。特に私の持っている楽器がそういう子なのか、自分がこうありたい!!と主張すればするほど、ケンカになっていくような感覚があって(笑)吹き手>楽器という構図よりも、楽器>吹き手な上下関係で「どうしたらよく鳴ってくれますか」というスタンスでいろいろ試すようにしてみると、見えてくるものがあります。幸い私は自分で使うための楽器を何本か所有しているので、個体によっても差を検証する機会もあり、アンブシュアの取り方から息のスピード感・量までもが違い、その中からより自分にフィットするものを選んでいくことができ、方向性がだいぶしっかりと見えてきた今日この頃です。楽器に教えてもらい、演奏スタイルはこの1年でもだいぶ変化があったと思います。まだまだ完成!と言えるまでには程遠いような気がしますが、試行錯誤する時間も充実しています。
自己主張ばかりせず、楽器の声を聞いてあげること、大事ですね。皆さまも、ご自身の楽器のもつポテンシャル発掘、ぜひやってみてください。