先週の記事の続きになりますので、もし先週のものをご覧でない方は、ぜひそちらから見てみてくださいね。

始めると同時に購入されるケースであっても、結果として「よかった!」と思えている現在があれば大正解だと思っておりますので、すでにこの選択をされた方の否定をしようという記事ではありません。しかし、その影では「買ったは良いけど、やっぱり続けられなかった」「この楽器は自分とは合わなかった」と初期に購入した楽器を手放してしまうケースや、もっと悲しいとオーボエ自体を辞めてしまうケースもあることから、これからオーボエを始めようと思う方にはぜひ深くご検討頂くために書いております。誤解が生じていなければと思い、一応記しておきました(汗)

さて、初心者の方がオーボエを始めると同時に購入することを推奨していない理由の続きを、これからお伝えしていきたいと思います。

モデル・個体ごとに相性が激しい

同じモデルであっても個体差が大きく、自分の体に合っているかどうかを判断するためには、ある程度演奏できるようになっていないと難しいと思います。その判断がつかないうちは講師が選んでいくことになりますが、習い続けていくと講師の吹き方には似てきますが、骨格や歯並びはそれぞれなので、リードや吹奏感のお好みまでぴったりフィットするかというと、そこまでは難しいと思います。たとえどんなに有名なプロが選んだ楽器の良さは保証されたものでもそれが自身に合うかどうかは別問題で、何より結局は自分に合うかが本当に大切なので、二の次にするのは最善とは言えない気がします。実際私も、師匠に選んで頂いた楽器たちより、自分自身を知ってから選んだ楽器たちの方が、演奏していても自分に合う気がします。同じように吹いているつもりでも師匠と自分の個性は違うし、好みの音を自分が出せるかというと、そうはいかないこともあります。声と同じように自分の持ち味というものがあるので。学生だった当時は言われるがまま師匠の目線だけでの選定で、こういうことには気がついていなかったんです・・・。

変わりゆく体への予測の必要もアリ

年を重ねるごとに体の変化があります。20代で選んだ楽器が40代になって辛くなってくるパターンは、プロアマそれぞれで聞きます。長い年月を重ねているのは楽器も同じなので、当然吹き手同様に変化しているのですが、そう簡単に買い替えもできない昨今の価格高騰事情。できるなら一生吹きたいですよね。で、あれば・・・5年後10年後の予測をしながら、「これなら吹ける楽器かな?」とある程度自身の未来も予測しながら選びたいです。しかし楽器を始めたばかりだとその予測は講師でも難しく、まさに未知数。それが半年・1年と経ってくると徐々にその人のもつベストな吹き方がだいぶ見え、体力の限界も分かってきます。そしてその限界は演奏を続けていくうちに体が慣れて、ある程度は天井が広がっていくのですが、管楽器演奏のスタミナは基礎体力に依存するところもあるので、そのうち体力の限界から来る「本当の限界」が見えてきます(この時期が来るにはかなり時間をかけていかないと見えにくいのですが)。その「本当の限界」は、残念ながら年を重ねて基礎体力が落ちていくうちに、徐々に下がっていきます。フィーリングになってしまいますが「これ以上は厳しいだろうな」と肌で感じるとき、というところでしょうか。最近の流行りでだいぶそういうコンセプトは減っている気がしますが、現在もある程度無理をしないと吹けないメーカー・モデルもいくつかはあります。それでもこの楽器の音が好きだから無理してでも吹ける年頃まではこの楽器でいきたい!と敢えて選ぶこともあるでしょうし、先々を見据えて無理なく吹けるものを選ぶこともあります。ご趣味であれば後者のほうが良いのかなと個人的には思うのですが、それにしても限界を知ることでどのグレードのどの楽器まで可能かが見えますので、時間をかけてご自身のプレースタイルを見つめていくことを忘れずにしたいです。

長くなってしまいましたが、楽器選びの奥深さが少しお伝えできているでしょうか?本当に楽しい時間なので、購入のときはぜひ焦らず、もったいぶって頂きたいと思います・・・!