ふとリードを作りながら思い出したことがあったので、記事に残しておきたいと思います。

私がオーボエを始めて間もない頃(気づけば15年以上前!)のことですが、オーボエを吹く人なら誰もが知っているあの巨匠のクリニックを受講したことがありました。私は当時オーボエを始めて2ヶ月そこそこですが、もちろん存じ上げていたので緊張半分、楽しみ半分で伺いました。

お会いしてみると、とても不思議な雰囲気をまとっていらっしゃって、その場の空気がガラっと変わる感じがありました。巨匠となるとクリニックに楽器はお持ちになることはなく、口頭だけでのレッスンになりますが、ただその場にいらっしゃるだけで圧倒されました。

私はそのときのことを、「不思議なにおいがした」と周りに話しました。でも決してにおいではなくて、どちらかというとオーラみたいなものだったと思います。でも形あるものではなかったので、五感で最も近いのは「匂い」だと思ったので、そう表現しました。

当時これにものすごく憧れを抱いて、どうやったらそうなれるのかあらゆる部分で真似をしてみました(笑)しばらくは頑張っていたのですが、近づいた感覚もなければ自分で確認などできるはずもなく、いつのまにかそんな体験すら忘れてしまっていました。

あれから15年以上経って振り返ってみると、舞台で活躍されている方は、種類はいろいろありつつも独特の世界や雰囲気をまとっていらっしゃいます。あれはきっと、舞台でいろいろなご経験をなさったものが表情や所作となって現れた結果なのだろうと思います。外見だけ真似すれば出来るものでもなく、内面が外面に現れていく。

どこかで聞きましたが、三十歳をすぎるとだんだん内面が顔に現れて人相が出来上がると・・・私ももうそんなお年頃です。オーボエを通して内面から磨き上げていきたいと思います。