ある程度楽器が吹けるようになったら、自分の楽器を買う。自然な流れでそんなふうに思い、ご予算や音の好みに合わせて選んで購入・・・毎年毎年の流れですが、楽器選びって本当に深いなぁと感じたので、今回記事にしてみます。

一目惚れして数年後、「ちょっと違う」と感じることがある

選定のとき、最初に音を出したときの印象がとても大事なのでよく感想を聞いて反芻するようにしています。たしかにその時点でのベストを決めるためには大事なのですが、数年して楽器に変化が出てきたり、自分の奏法やリードの好みに変化があると、「こんな感じだったっけ?」と感じることがあります。正直これは、最初の時点で予測は不可能なことで、まるで結婚生活のようだなと思います(笑)どんなに気に入っても、どんなに高級な楽器だとしても、購入したときのあのキラキラした感じは、残念ながら永遠には続きません。その楽器とどんなオーボエライフになるのかも、どんなに経験のある指導者でも見極めることはできないと思います。

その先を見据えること

今一番気に入ったものを選ぶことも大事な基準ですが、数年後に違和感を覚えることができるだけ少ないように、先々のシミュレーションをすることもある程度必要です。初心者からしたらちょっときつい密度の高い木の楽器だとして、いまは持つことも吹くこともしんどく感じるかもしれないけれど、少し訓練したらもっと気持ちよく吹けるようになりそうだなぁとイメージして購入したり。年齢を重ねていくことを視野に、ハード過ぎないものを選んだり。今はベストではなくても、近い将来ベストに変わる予測が正しくできると、長くともにできるパートナーが選べると思います。

買い替えを恐れすぎない

生徒さまの楽器を選定するときは、できるだけ長く使えるものをじっくり選んでいるつもりですが、長年オーボエを演奏していると、買い替えを考える現象は自然と起きてくるものだと思います。残念ながら昔と比べてグラナディラが伐採され希少化していることもあってどこのメーカーも質が徐々に低下してしまっているので、昔の楽器ほどは長く使えないような印象も持っています。ご趣味の範囲内かつ定期的に演奏する想定でざっくりと耐用年数を述べていくと、初級の楽器だと10年以内くらい、中級の楽器だと15年前後、上級の楽器でも30年くらい使うと、古びた印象を感じてくると思います。「買い替えしたくない」という思いが強すぎると、大切なことを見失ってしまうこともあるような気もするので、いつか買い替えたいと思うときが来てしまう可能性は、どんなときも頭の片隅に置いておくことも必要なのかもしれません。