このコラムでは、初級者むけのお話をよく書いてきました。当教室はどちらかというと初級〜中級者さんが分布として多いので、初級〜中級者さんと比べると上級者さんについて深掘りする機会が少し少ないのです。また、上級者さんはある程度自分で練習を進められるので、定期レッスンの必要性を感じていらっしゃらないことから、あまりこういった教室にはいらっしゃらないというのもあるかもしれませんね。今日はそんな上級者さんに関する記事を書いていきます。

長くオーボエを吹いてきた中高年世代の方、かつて音楽大学をめざしていた方など、上級者の方のレッスンをさせて頂いていて、まだまだ上達しそうな伸び代を感じる方と、このままだと何年経っても変わらなそうだなと感じる方と、大きく二分されます。どちらかというと後者のほうが多い印象にあります。

上達が頭打ちになっている上級者さんの共通点

自分で自分をうまく伸ばせなくなったところで当教室にいらっしゃるパターンが多くあります。そのような生徒さま方と少しずつ関係を重ねて見ていくなかで、なかなか前に進みにくい方には、一定の共通点があることに気がつきました。

  • 思考パターンが固定されている
  • 自分の好みで取捨選択する癖がついている
  • 理想やこだわりが強すぎる
  • 客観視するちからが弱い

まず、大人になると皆思考の回路が固定してくると思いますが、オーボエの演奏においても、無意識に「ここは、こう」と決めてしまっていて、そこに疑いを持たなくなってしまいますね。次もまた耳の痛い話ですが、大人になれば好きな食べ物だけ食べても怒られなくなるし、苦手な人との関わりも学校よりも距離を持てるようになるからか、人間はこうして少しずつわがままになっていくようです(自分に対してもそう思う)。それは脳でも同じ現象が起きているようで、自分が得意としない話を講師から言われると、無意識に頭に入れずスルーしてしまったり、「これは私にはできないし」と取捨選択をしてしまいます。

音楽を演奏する上ではこだわりもとても大切ですが、理想やこだわりが凝り固まって、自分をがんじがらめにしてしまっていることもありますね。「私はこうだから」という考えもステキだけれど、自分自身を客観的に見つめるちからも、オーボエ上達には必要だと思うのです。

上級者さんがさらに伸びていくには?

上記をご覧になってドキッとした方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫!!本当は気付きさえすれば誰だって変わって、いくらでも伸ばせます。コツがあるだけです。

  • 自分の苦手な考え方を取り入れる
  • あえて人の意見に左右されてみる
  • 理想やこだわりを持った他者と対話する
  • 自分の伸び代を信じる

一番におすすめしたいのが、自分の苦手な考え方をもった人のやり方を、あえて取り入れてみることです。理屈で固めるのが好きな人は、心で訴えるような講師のレッスンを。なんとなく練習しがちな人は、一音一音細かくみてくれる講師のレッスンを。最初は理解できないかもしれないけれど、自分なりに噛み砕いて取り込んでいくように頑張ってみると、きっと新しい世界が拓けます。このように、上級者さんにはあえて元々の好みとは真逆の講師にしてみることも、上達の方程式のひとつとしてたまに提案したりします。

次に、ブレない心も当然必要だけれど、「あえて」「わざと」人の意見に振り子のごとく左右されてみる期間を作るのも有意義です。それは演奏だけでなく、リードメイキングでも心掛けている方法で、「5月は〇〇さんから聞いた作り方でリードを作ってみよう」というように、自分の軸は忘れずに、誰かがおすすめした方法に染まってみる期間を限定的に作ります。内容により、期間は1日〜数ヶ月とさまざまです。

最後に、理想やこだわりを強くもった第三者と対話してみるのも面白いです。自分とは違うポリシーを聞くことで、「自分にとっては何も気にならないことをこんなに大切にするとこうなるんだ」と、ある種のカルチャーショックを受けることができます。人それぞれの理想やこだわりに触れることで、少し自分のことも客観視できたりもしますよね。

私自身、オーボエを20年以上吹き続けて、頭打ちかなと思うようなときがあります。そういうときに自分を見つめなおすと、根本的な自分の思考や練習のパターン化や、狭い世界で凝り固まってしまったものが浮き彫りになります。

上級者さんになればなるほど、自分の伸び代を信じられなくなってくる側面もあるように思いますが、そんなことはありませんよ!皆さまと一緒に、いつまでも向上心をもって伸ばしていきたいなと思う今日この頃です♪