これまでの私は、キィに手が届き、ある程度の元気さえあれば何歳になってもオーボエを吹けると信じて疑いませんでした。でも、改めて考えてみると、そうとも限らないのかなと。社会人むけの演奏団体さんの様子を思い出してみると、フルートやクラリネットには全く珍しくないけれど、それと比べるとオーボエで70代以上の団員さんを見かけることはだいぶ少ないような気がします。また、レッスンをお受け頂くご年齢層も、70代を超えるとグッと少数になっていきますので、60代くらいまでがひとつ節目になる方が多いのかもしれません。やはり健康寿命の終盤にオーボエの演奏寿命がやってくると考えて良さそうです。

今回は対策をご提案するために、ネガティブ方向から解決策を検討してみたいと思います。

辞める理由①息苦しい

オーボエは息が詰まるので、歳を重ねていくとそれがより一層辛くなっていくそうです。

解決方法:リードや楽器を変える

しんどさを感じるようになった頃から、演奏スタイルの変えどきです。まず、息が入りやすい楽器にするのがおすすめ。もしそのために楽器を買いかえるなら、個人的にはヤマハがベストだと思います!831では辛ければ431JDRもしくは431C、指が辛ければノーマルの431を推奨します。もともと持っている楽器をそのまま使う場合、コルクタンポをスキンに変えたり、ベルを軽いものにしたり、改造してみるのも良い対策です。そしてリードは反応がよく、薄いものを使うようにしましょう。楽器とリードの対策だけでも、演奏寿命がものすごく延びます。

辞める理由②老眼の影響でリードや楽譜が見えづらい

目が見えにくくなると、楽譜を読むだけでストレスになっていくそうです。

解決方法:楽譜を拡大コピーする、リード製作時はハズキルーペを使う

しっかり見えるようにA3サイズに拡大してレッスンにいらっしゃる方も!ブルーライトにご抵抗がなければiPad Proなどを使って楽譜を読むようにして、ピンチで拡大するのも便利ですね。リード製作のときはハズキルーペがとても人気です。もっとしっかりと見えるスコープを使う方もいらっしゃいます。もしくは晩年はリードメイキングを引退されて既製品にするのも、ストレスフリーです。

辞める理由③持病などで日常生活が難しくなった

最終的には多くがこの理由で引退となるのだろうと思います。こればかりはなってしまった後にどうにかすることは難しいので、健康寿命を延ばせるように今から日々心がけをしていくことだと思います。

予防方法:歯医者さんでの定期検診、日常的な運動習慣、などなど・・・

歯が少なくなってくることで演奏が難しくなるケースも聞いたことがありますが、オーボエは実は総入れ歯になっても演奏ができるとか!抜けた歯の隙間に入れ歯やインプラントなどを施せば、歯に関しては意外にも大きな問題はありません。もちろん自分の歯である方が健康寿命は延びますので、虫歯の有無に関わらず3ヶ月に一度は予防歯科の受診はおすすめ。クリーニングもとても大切なので、私も欠かさないようにしています。

30代以降は常に筋力が低下していきますので、少し長めに散歩をしたり、可能ならばスポーツジムなどでの筋トレなど、意識して運動することもとても良いと思います。オーボエの演奏にも筋力は必要なので、筋肉隆々を目指さなくても、健康維持レベルでの運動を心がけるだけで10年後・20年後のオーボエ人生が変わるはずです!

何歳になっても、なるべく長くオーボエを吹いていたいという生徒さまのお声を耳にするようになり、私もレッスンでできることをたくさん考えていきたいと思います♪生徒さまも私も、生涯現役のオーボエ愛好家でいたいですね。