オーボエの魅力について、やはり「音色」と仰る方は多いと思います。「良い音を出そう」「きれいな音を出そう」という意識を持ってリードを選んでいる方をよくお見かけするのですが、今日はその考え方について書いてみます。

まず、「きれいな音」とは何でしょうか?この時にたいていの方のイメージする綺麗な音は、柔和で暗い、こもった音色。その音色が必要とされるシチュエーションでならば良いことだと思いますが、いつ何時も「きれいな音」で演奏することが、果たして良いことと言えるのでしょうか?そしてその音を出すために、大切なことをおざなりにしてしまっているケース、とても多いです。柔和な音を目指すばかりに、柔らかすぎる材料のリードを選んでいたり。自身の限界を超えた厚さのものを無理やり演奏していたり。発音がうまくいかなかったり…例を挙げるときりがありません。

音色とは、いわば人でいう「服装」や「髪型」。上記のような考え方は、例えばお洋服を買いに行って、「かわいい服を出してください!」と店員さんに言っているようなものだと思います。「かわいい」という考え方って人それぞれであることと同じように「きれい」という価値観も人それぞれであるとともに、曲などのシチュエーション次第。曲の求める音が、自身の思う「きれいな音」であるのかどうか?いつも自分の思う好きな音を出していれば良いのか?タイトルを見てドキッとした方はぜひ、このあたりをよ~く熟慮した上で、今一度ご自身のプレイを見直してみてください。

自身の思う「きれいな音」を出そうとするよりも、様々な音色を使い分け出来るようにしていく方が、よりプレイヤーとしての幅が広がるように思います。その使い分けの手立てとしてリード選びと調整は、当たり前のように重要なことなのです。

リード選びは平均点で競うと良いです。ただひとつのメリットのために多くのデメリットを受け入れるよりも、秀でた何かがなくても、全体的に安定しているものの方が安心出来ます。

人によりこの表題のお話は意見が異なりますが、山内は常々そう思いながらレッスンしています。オーボエ奏者同士でこの議論になることも良くあります。このことはプロアマ問わず皆さまのご意見で討論出来たら良いなぁ…とぼんやり思う今日この頃です。